卵巣の成熟

バージンの体外部の外套口より雄のキプリス幼生が進入し、生殖細胞として合体すると、体外部は成熟し、受精卵でやがて満たされるようになる。レモン色から黄色やがて赤褐色になり、幼生が放出されるのだ。 　モクズガニのフクロムシでは、ノープリウス幼生で放出されるか、キプリス幼生で放出されるかはまだ確認されていない。近いうちに明らかになるであろう。

一匹のモクズガニにバージンの体外部と既婚の体外部とが同居しているものがある。雄のキプリス幼生が進入したかしないかの違いであるのだから、当然あってもいい話であるが、逆に２０以上の体外部がすべて既婚状態になっている場合もよくあるので、どのような状態で多数の雄のキプリス幼生が進入するのか非常に興味深い。 　左の写真は右下に大きく肥大した黄色の体外部と透明に近い小さなバージンの体外部とが同居しているのがわかる。

受精卵がかなり成熟している。左の体外部の一つが暗赤褐色になっているのがわかるであろうか。幼生放出直前の状態だと思われる。 　幼生を放出すると体外部は皮だけになってしまいやがて脱落してしまうようだ。 　フクロムシに寄生されたモクズガニは、体外部がすべて脱落したときに脱皮を行うと考えられるが、これも検証しなければならない課題である。

左の写真は上から２番目と同じ個体である。しばらく水槽に飼っていて、再び観察してみると既婚の体外部が脱落してなくなっていた。

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